ScratchとAIのコラボ!動くロボットシミュレーション入門
近年、プログラミング教育の現場では、Scratchを使った学習が急速に普及しています。 その中でも注目を集めているのが、「AI(人工知能)」と「物理ロボット」を組み合わせた学習方法です。 本記事では、micro:bitやmBotといったロボットをScratchと連携し、さらにAI機能を加えた「動くロボットシミュレーション」の作り方をわかりやすく解説します。
1. ScratchとAIの基礎知識
まずはScratchとAIについて簡単におさらいしましょう。 Scratchは、マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発したビジュアルプログラミング環境で、ブロックを組み合わせるだけで簡単にプログラムを作成できます。 AIとは「Artificial Intelligence(人工知能)」の略で、人間のように学習・推論・認識を行うコンピューター技術のことです。
Scratch単体では高度なAI機能は持ちませんが、拡張機能や外部サービスを利用することで、音声認識や画像認識、チャットボットなどのAI的動作を取り入れることができます。
2. 物理ロボットとScratchを連携する方法
2-1. micro:bitとScratchの接続
micro:bitは教育用の小型コンピュータで、LED表示や加速度センサー、ボタンなどを内蔵しています。 Scratchと連携するには、Scratch Linkという専用アプリをPCにインストールし、Bluetooth経由でmicro:bitを接続します。
- 必要なもの:micro:bit本体、USBケーブル、Scratch Link
- 接続方法:Scratchの「拡張機能」からmicro:bitを選択し、Bluetoothでペアリング
2-2. mBotとScratchの接続
mBotはMakeblock社製の教育用ロボットカーで、モーターやセンサーを搭載しています。 PCとUSBまたはBluetoothで接続し、Scratchの拡張機能「Makeblock」から制御が可能です。
- 必要なもの:mBot本体、USBケーブルまたはBluetoothモジュール、mBlockソフト
- 接続方法:mBlock(Scratchベースのソフト)で「デバイス追加」→mBot選択→接続
3. AI機能を追加する方法
3-1. 音声認識AIを組み込む
Scratchには音声認識機能は標準搭載されていませんが、Google Speech APIや外部のAIサービスと連携することで、音声コマンドに応じてロボットを動かすことが可能です。 例えば「前に進んで」と話すと、mBotが前進する、といった制御ができます。
3-2. 画像認識AIを組み込む
WebカメラとAI画像認識API(Teachable MachineやMicrosoft Azureなど)を使えば、特定の物体を認識して動作を変えることができます。 たとえば赤い物体を認識するとmicro:bitのLEDが点滅、青い物体ならロボットが後退する、などの反応を作れます。
4. 実践例:AI搭載ロボットカーの作成
ここではmBotを使ったAIロボットカーの例を紹介します。
- mBotをPCと接続し、mBlockでScratchモードを選択
- カメラ入力とAI画像認識拡張を追加
- 「もし人物が見つかったら前進」「見つからなければ停止」という条件を設定
- スクリプトを実行し、実際にロボットが自動で動くか確認
このように、センサー情報とAI判定結果を組み合わせることで、より知的な動作を実現できます。
5. 応用アイデア
- 障害物を回避する自律走行ロボット
- 色を認識してルートを選択するライン追跡ロボット
- 音声で命令できるペット型ロボット
- ジェスチャー認識で動くダンスロボット
6. 学びのポイント
AIとロボットを組み合わせることで、単なるプログラミング以上の学びが得られます。 論理的思考力、問題解決力、創造性が同時に育まれ、STEM教育の中核としても非常に有効です。
まとめ
ScratchとAI、そして物理ロボットを組み合わせることで、子どもから大人まで楽しめるインタラクティブな学習環境が作れます。 まずは簡単な制御から始め、徐々にAI要素を追加して、オリジナルの動くロボットシミュレーションを完成させましょう。
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